振袖じゃなくて着たかったドレスを着る

「い~~~ん泣

絶対成人式の後撮り写真撮りたくないけど、親戚の人から電話越しに針でチクチクされてるよ~

それ用にってお小遣いまで貰っちゃったりして~

せめてあと5年くらい待ってほしいよ~

ただ、こんなにも自分にまつわるきちんとした祝い事が苦手な私だけど、結婚式とかで、もしエリザベート様のコスプレとか出来たら喜んでやるし、楽しかろうな~

それくらいあのお衣装はかわいいと思うんだわよね~(要約)」

 

という感じのことを21歳の誕生日が迫る中、逃避がてら言っていたら、Twitterのフォロワーさんに「宝塚ステージスタジオがあるじゃない」と教えて頂きました。

 

何よここ!こんな夢みたいなところあるの!?

なんならここで撮った写真を成人記念ってことにして、親戚を言いくるめちゃおうじゃないの!

という魂胆のもと、意気揚々と宝塚に赴いたレポです。

 

 Q.宝塚ステージスタジオって?????

 

 A.それなりのお金を払えば、宝塚メイクを施した上でレプリカのお衣装を着て写真を撮れるという乙女のための欲張り写真スタジオ

kageki.hankyu.co.jp

 

ここからはしばらく私という人間のステータスについてさっくり語るので「いいからレポだけ読んであげるわよ」という方はうろ覚えで描いたピチューのところまでスクロールして下さい。

 

【写真撮影に対するモチベーションについて】

本当に嫌い。なるべく撮られたくない。

人と遊んだ後LINEアルバムにあげられる他撮りを見るとその楽しかった一日が水泡に帰すくらい落ち込むし、ましてや証明写真や卒業アルバム等々必要に迫られて撮る写真ほど鬱になるものはないよね。

直近の証明写真は泥酔した状態で無理矢理撮ったので無意味にニヤけている。

案の定成人式の前撮りも後撮りすらも渋りまくって今に至る。

 

【宝塚について】

ドにわか

9月に初めて当日券で月組エリザベートを観劇

本当に無知なのでメイクさんに好きな男役さんはどなたですか?とか、聞かれたらどうしようかとヒヤヒヤしていた(別に聞かれなかった)

いつかもし聞かれたらとりあえず

「月城かなとさんです」

と大きな声ではきはきと答えたい。

 

エリザベートについて】

もともとヘタクラだったことも手伝って予備知識があった状態で観劇した。

ヴィンターハルター画のエリザベートのドレスが大好き。

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かわいいー!

 

 

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以下レポートです。

自撮りとか目元に近寄った写真がちょこちょこ出てきます。

先にあやまっとこ ごめんごめん

 

12月某日の13:00~で撮影スタジオの予約が成功したので、その日までダイエットをしたりしなかったりで当日を迎えました。

信じられないくらい図太いので、受付時間の30分前くらいに花のみちのサンドウィッチ屋で紅茶のついたランチセットを平らげます。

 

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おいしー

 

受付で衣装と背景を選択する。

今回のセットの中では3着まで衣装替えが可能なので、どうせならと1,000円でメイク替えも希望し、トート様(男役)の恰好もしてみることにする。

 

化粧の濃さの関係で娘役→男役の順で化粧替えを行うのだけれど、そのことについて受付の方から

「娘役の血色がいいお化粧下地はそのままに男役のメイクもするので、やたらと血色のいいトート様になってしまうのですがよろしいですか?」

との案内がありました。

"血色のいいトート様"というワードが面白くてしばらく口の中で転がしてしまう。

私は快諾しましたが、血色のいいトート様が解釈違いの方はトート様単体で撮影するのが良いのかもしれませんね。

 

スタジオに通され、チューブトップとスカートという専用下着に着替える。

外から観劇予定の方々の楽しい声が聞こえてきて、

「こんな…伝統ある施設のカーテン1枚隔てただけの更衣室で、私はなんという格好を…」という興奮に打ち震える 3マス戻る

 

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オワーッ

 

化粧台に座ってしばらく化粧をされるがままにしていると、目の前の鏡にマンドリルがいた。

顔にまっピンクのおしろいが塗りたくられ、鼻の側面に赤の粉で描かれた線が一筋入っているのでとってもジャングルな感じ

そして不安になるくらい顔がピンクです。

どれくらいピンクかというと、

 

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これくらい*1

 

その他にも、ありえない位置の眉毛をねつ造されたり、ありえない位置にまつげと二重が出来たり、ありえない位置にリップラインが取られたりして、無から有を生み出そうと奮闘してくれるメイクさんの努力に涙がちょちょぎれそう。

 

メイクが一通り終わり、いよいよドレスに腕を通す。

振り返ってみるとこの着せられる瞬間が一番楽しかったです。

腰を「オエッ」てなるくらい絞られて、係りの方に手を引かれながらヨロヨロと撮影に向かう瞬間なんかすっごく高尚

驚異のウエスト50cm~♪

ただ、この辺で昼飲んだ紅茶のせいですっごいおしっこに行きたかったので、絞られながら「ヤメロヤメロヤメロ」と思いました。

撮影スタジオ内におトイレはないのですが、あの時おトイレに行きたいと言っていたらどうなるのかはすごく気になってます。

化粧のまま大劇場のホール内を歩かされるのでしょうか

 

撮影のターン

びっくりしたこと

マジで身動きが取れないくらい細かくポーズを指定される。

「顔を右に2ミリ傾けて」とか言われるんだけど右がどちらか分からなくなって(?)、最終的に係の方に顔面を持たれる。

多分、スタジオ側で写真を一定のクオリティを保つために『スタンダードなシシィポーズ』というのが用意されていて、そこに被写体が合致するように細かく指示を出して動かしているのだろうなと思います。

ルネサンスの芸術家は効率を上げるべく、工房と弟子を持ち、手や足などのパーツをパターン化し、雇い主から注文を受けると適した1パターンを選んでそれらを全員で分業して描き納品する」という話があるのですが(うろおぼえ)、まさしくそんな感じで、短時間で顧客が納得できるくらいハイクオリティのものを量産できることに特化した仕組みなんやな~としみじみしながらシシィ(エリザベート)の撮影を終えました。何の話?

自分はこの角度が一番美しいのに…等のこだわりは全くない人間なのでむしろポーズ指定がありがたかったのですが、やりたいポーズがある人などは事前に受付時点で申請しておくと、スムーズに事が運ぶかもしれません。

 

同じ手順でトート様の撮影

このメイクさん、私の顔をキャンバスにして骨貝を描こうとしている…?と不安になるくらい横と縦に広がっていく目

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骨貝を描かれた顔

 

トート様の服を着て撮りました。

私は身長が165cm以上あるんですが、そんな私でも出来上がった写真を見た際には「は!?!?!?!?クソチビ!!!!!!」と絶叫せざるを得なかったです。

顔がデカすぎる こんなバランスの悪い体で20年も生きてこれたの逆に偉いな

男役の人はみんな神様 よく分かりました

 

撮影が全て終了し次第、私服に着替えてメイク落とし作業を行うのですが、ここで自撮り自由時間を用意してもらえます。

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本来ならありえない位置についているまつげも撮り放題

宝塚っぽい服を着て行ったら雰囲気がマッチして結構楽しいかもしれません。

 

撮影完了!

一週間後くらいに自宅に出来上がった写真が郵送されるので、微妙にダイエットをした反動でインスタントラーメンをしこたま食べたりしながら待つ。

 

 

 

 

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ギョエーーーー!!!!

もともと自己愛の究極形みたいなサービスではありますが、こうして見ると本当に圧巻ですね。

 

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セットで注文したのでピルケースも届きました。

みんなは自分の顔が印刷されたピルケースって見たことある?

私は今日見たよ。

自分のこんなのがこの世に存在するの、2.5次俳優かステージスタジオの利用者くらいなのでは。

 

私は自分の顔を見るのが本当に苦手なので、これまた泥酔状態で開封の議を行ったのですが、この圧倒的な物量を前にするとなんかめちゃくちゃ楽しくなっちゃって自分の顔の出来についてはあまり気になりませんでした。

酔ってたからか?(酔ってたからだよ)

 

ていうか普通に、ガシガシと舞台化粧をされることにより、人間の顔というのはほどほどに原型を残したまま、しかし画一的にある一定のラインまで持って行ってもらえるもんなんだなあという知見を得ました。

私と似たような容姿コンプレックスを抱えてる方がいらっしゃったら、この辺が結構重要なんじゃないかな~と勝手に推測します。

個人的に、もしも素の顔で振袖を撮っていた場合よりも自己を肯定できてる現状なんじゃないかな!?と思ってる。利用して良かったです。

自分の顔が苦手でしょうがないけれど、きちんとした写真を撮らなければいけないというタスクを絶賛背負ってる成人の方々、もしも親御さんとか親戚の方が寛容そうなら宝塚ステージスタジオ案にすり替えちゃってはいかがですかね?

 

ちなみに私はこれから親戚に「振袖じゃなくてドレス着たったはw スマソww」と電話するタスクを背負っています。

気、重~

終わります!